百歳のお祝い会に参加して

 宇治にある老人専用集合住宅に住んでいて、10月初めに満百歳になられる方がおられました。
その施設の関係者からお祝い会を計画しているので、日本舞踊が好きな方なので出演してもらえないかと
依頼がありました。
 
 そのお話をいただいたときは、そのような大切な会に出演してよいものか迷いました。
というのも、今まで私が人前で踊ったのは、春乃流の「舞い初め」「ゆかた会」そして、去年の「本会」でしたし、流派のたくさ んの方たちと一緒に出演したものばかりでした。
ところが、今回は一人で出演ということで、初めてのことですしどうしようか迷いました。

そんな時、私の母の白寿(九十九歳)のお祝い会のことを思い出しました。
今から三年半前、春乃流に入門し、初めて習った「白扇」という曲を母の前で踊りました。
習い始めて十か月ばかりの時で、きちんと踊れなかったけれど、娘が着物姿で踊りを見せてくれたことをとても喜んでくれました。
 このようなことを思い出しながらも迷っていたので、お家元に相談しました。
すると、どんどんチャレンジするようにと勧めていただきました。
また、演目は「白扇」と「虫の音」にしたらよ いのでは・・・と背中を押していただきました。
そして、母の時はきちんと踊れなかったけれど、今回はしっかり練習してお祝いの気持ちを伝えられたら、
亡き母も喜んでくれるかな?と思えるようになりました。

当日は雨模様でしたが、会場には、住人の方とその家族、関係者の方などがお集まりでした。
そして、舞台になるフロアーのバックには明るく広い窓ガラスがあり、茶畑が広がって見えていました。
 そんな背景の中、司会の方に紹介していただき、二曲踊らせていただきました。
皆さん、とても集中して見ていただいて、私も踊りに集中することができました。
そして、あっという間に持ち時間が過ぎてしまいました。

踊り終わると、ご本人から直接ご挨拶いただきました。
「最近、見ることができなかった踊りを、私のためにわざわざ来て見せていただいてうれしいです。ありがとうございました。とっても良かったです。」と言っていただきました。
社交辞令であったとしても嬉しい気持ちになりました。

その方は、百歳とは思えない程綺麗でしっかりされている方でした。
前日、一人でタクシーに乗り、娘さんのところや美容院に行ってこられたそうです。
お話の受け答えもきちんとされて、昔のことなどもお聞きでき、とても楽しい一時を過ごすことができました。

初めてのことで、参加することに躊躇したけれど、踊りを見て喜んで いただけたことや百歳になっても美しくお元気な方にお会いできたことが、とても嬉しかったです。
そして、趣味で始めた踊りを通して他人様に喜んでいただけたことは、幸せなことだと感じました。

C・T

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