母のこと

私の母は76歳。

私より元気かもしれない。

父や友人たちと、しょっちゅう旅行や遊びに出かけている。

私が知る後期高齢者の中で

母が一番しあわせだと私はひそかに思っているが

本人は、そうは思っていないらしく、時々私をムッとさせる。

「ひとりで映画へ行ったことがない。」

「ひとりで外食したことがない。」

と、残念そうに言うが、

「お母さん、一緒に行く友達がいるねんから、ぜいたくやよ!」と説教する。

しかし、いつまでもしつこいので、同居する妹が

ひとりで映画へ行くように手配したのであるが、

結局、当日になって友達を誘って出かけたようだ。

去年の今頃は、「お母さん、紅葉狩りへ行ったことがない。」と

びっくりするようなことを言いだした。

秋に旅行へ行って、紅葉見てるやん、と

心の中で思いながらも、母とふたりで、紅葉の東福寺へ行き

「お母さん、紅葉狩りできてよかったね~。」と、念を押した。

足るを知る、の真逆のような母だけど、

もっと楽しまなくちゃ~元気なうちに! の思いがあるから

元気なのかもしれない。

年末に、母とフェリーで九州へ行く。

「初めて船で行くの、うれしい~!」 と、喜ぶ母。

これからも母の「~したことない。」を、一つずつ、つぶしていこうと思っている。

 

M.Y

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